「お前の家の人が犯人って可能性はないのか?」


「それはねぇよ。お袋は一階にいるんだ」


「でも、わからねぇぞ。そんな怒鳴り声上げてりゃ、電話してることだって聞こえてるだろ?もしかしたらお袋さんが、こっそり部屋の前で聞いてたりして……」


そう言われた聡は、静かに立ち上がり、ゆっくりとドアへ向かい、さっとドアを開けた……が、誰もいない。


「……竜太。誰も聞いちゃいねぇよ」


「……そうか。……なぁ、聡」


「何だよ?」


「……」


黙り込む竜太。


「何だよ!」


思わず怒鳴ってしまう聡。


「……本当に、俺じゃねぇよ。信じろ。こんな大事なときに、そんないたずらするわけねぇだろ。そんなことは、お前もわかってんだろ」


「……」


「……聡!」


「……わかった、信じるよ。悪かった」


「……じゃあ、また明日な。いいか聡、気にするな。わかったな?」


「……あぁ」


「俺は、お前がもう綾ちゃんのことでミスしねぇって信じてるからな。じゃあな」