天国からのメール

『ひどいよ……聡……どうして信じてくれないの？』


聡はそのメールを読み終えると、ふと気づいた。


「あれ？そういえば、差出人の名前が……綾？……え？」


聡の携帯は、そのアドレスを電話帳に登録しておかないと差出人の名前が出ないのだ。


そして、聡の知っている綾は……ただ一人。


つまり、このメールは二年前に死んだ綾の携帯電話から送られているものだった。


「間違いない……このメールは、綾の携帯からだ……」


そのことに気づくと、急に寒気がした。


綾の携帯はとっくに解約しているはずだ。


メールなど送れるはずがない。


『誰なんだ？答えてくれ。どうやってメールしてる？なぜ、綾の携帯を持っている？』


聡は恐る恐るメールを送ると、確認の為、綾の電話番号を押し、通話ボタンを押した。


そのとき、聡の全身に鳥肌が昇るのを感じた。


……プルルルル、プルルルル……


電話が、かかったのだ……。


「うわぁぁ！」


聡は飛び上がると、急いで綾の自宅に電話を掛けた。


「はい、もしもし？」


受話器の向こうに女性の声が聞こえる。綾の母だ。


「もしもし、聡です！覚えてますか？」


焦り口調で話す聡。