その綾の言葉に、ハッとした。


『ありがとう、綾。目が覚めたよ。何ウジウジしてんだろうな、俺。本来メールできないはずの綾と少しでもメールできるってだけで幸せだって思ってたのに……調子に乗ってそっちにばっかり気がいって……ホント何やってんだろ、俺。綾……俺、頑張るから。』


『うん……わかってくれたなら、よかった。……もし気になるなら、もう本番までメールしない方がいい?』


『ううん、もう大丈夫だよ。フッ切れた。これ以上、綾の見てる前で弱音なんか吐けるかよ。いつでも、メールしてきて。あと少ししか会話できる時間はないけど……応援してくれ。綾の言葉が、何よりも力になるんだ。』


『よかった。聡、くいのないように頑張るんだよ。』


『うん、ありがとう、綾!』


「聡ー、ちょっと俺のカバンから歯ブラシ取ってくんねぇ?」


とそのとき、洗面所から竜太の声が聞こえる。


携帯電話を閉じる聡。


「歯ブラシなら、洗面所に置いてあんだろ?」


ベッドに座ったまま言う聡。


「いや、俺マイ歯ブラシじゃねぇとダメなんだよ」


「ったく……」


しぶしぶ歯ブラシを持っていき、竜太に渡す聡。


「センキュー」


「……竜太」


呼ばれたついでに、竜太に声を掛ける聡。