「やーまーなーかー!」


サッカーボールを片手に、愛しい声があたしを呼んだ。



「うーるさい翔大」


心とは裏腹に、いかにも鬱陶しい声で振り向いた。




せみやらなんやらの声がうるさい、夏まっさかり。


太陽はあたしだけを照らしてるんじゃないかってくらい、強く照りつける。



「クラスの祭りのやつ、どーなったん?」



「あー、美加もまだわかんないや」



本当はわかってる。


でもずるいあたしは、
これを理由にメールできないかな?


なーんて。



「したら今日メール!!」


単純なこいつは思った通りのことを言ってくれた。



太陽なんかより全然まぶしい笑顔と、無造作な寝癖。


少し茶色い髪が、また…


部室へ走っていった背中をぽーっと見つめた。





.