ジャックはプールサイドの車椅子の上で目を覚ました。



同じ夢を繰り返し何度見たことだろう。



あれから12年が経ち、ジャックは随分と年をとったように見えた。



その間彼は一度も車椅子から立ち上がることも口を利くこともなかった。



ジャックの夢だったロサンゼルスオリンピックでの競泳チームは、かつてのジュニアのライバルだったマット・ギオンディをはじめとする素晴らしいメンバーによって、オリンピック史上最高数のメダルを獲得していた。



しかし、それももはや、ジャックにとって遠い過去の出来事だ。



当時メアリーはリハビリの為、ジャックに毎日テレビでそれを見せた。



だが、彼にとってジュニアがいないレースなど何の治療にもならなかったのだ。