( 新撰組 * 恋情録 )


 「 ‥取り敢えず! 幹部連中は
       俺の所に集まってくれ! 」

 次々と様子を見に来る隊士たちを
 押し退け、道場へ戻るように
 促しながら 土方さんはそう声を
 張り上げた。

 今は屯所を空けている幹部も
 居るらしく、あたし達の元に
 集まったのは組長格以上の計七名。

 「 おいトシ、こちらさんは一体‥? 」

 「 あ‥、 」

 土方さんが やべ、 という顔をする。

 「 悪いな、近藤さん。大将のあんたに
  黙って、勝手に引き入れちまって‥ 」

 ( この人が、新撰組局長‥ )

 「 取り敢えず紹介する。
  明日から女中として働く事になった
            霧島凜咲だ。 」

 「 よろしくお願いします 」

 ‥正直、皆の反応が怖かった。
 どうしよう、 " いらない " って
 言われちゃったら。

 ―‥しかしそれは、
 杞憂に過ぎなかったらしい。

 「 おぉ!凜咲くんと言うのか!
      明日からよろしく頼むぞ! 」

 近藤さんは文句を言うどころか、
 にこにこと人の好さそうな
 笑みを浮かべ、握手を求めてくる。

 ( え、えぇ‥?! )

 呆気に取られているあたしの手を
 ぎゅっと掴んで左右にぶんぶん揺らす
 近藤さんは、まるで子供のように
 無邪気だった。