( 新撰組 * 恋情録 )


 追い付いた、と思った瞬間
 土方歳三は急に立ち止まった。

 そして勢いを殺せなかったあたしは
 そのまま土方歳三の背中に
 突っ込んで、額やら鼻やらを
 強打した。←

 「 い、いひゃい‥何で止まるの‥ 」

 弱冠涙目になりつつ尋ねた
 あたしの方を振り返る土方歳三。

 「 隊士達に挨拶の前に、
    お前その呼び方を何とかしろ。 」

 「 よ、呼び方‥? 」

 「 何だよ " 土方歳三 " って。
     堅いっつ―か‥変だろうが。 」

 「 えぇっ?!そんなぁ‥ 」

 「 何かもっとあるだろ、土方さんとか
     土方とか歳三とかトシとか‥ 」

 困ったように頭を掻きながら
 いくつか案を出してくれる土方歳三。

 ( う―ん‥? )

 「 じゃあ、土方さんっ 」

 改めて彼の名を呼んでみる。

 「 ‥なんつ―か、意外に
    他人行儀なの選んだなお前‥。 」

 「 いきなり歳三じゃ、
          失礼かと思って。 」

 「 そう思うんならまず、
    俺をからかうのをやめやがれ! 」

 「 え―(笑) 」

 「 え―(笑)、じゃねぇぇぇええ!! 」

 あたしたちの声は
 道場にも聞こえてていたらしい。

 結局、稽古を中断した隊士たちが

 『 なんだなんだ?! 』

 ‥と 様子を見に来るまで、
 あたしたちは喧嘩?に夢中だった。