「そんな、悠長なことを離している場合じゃないみたいだぞ。」


 レッドがそんな言葉をつぶやく。


 言われて洞窟の中に目を凝らすと現れるのは、黒スーツの、怖そうなお兄さん達。


「黒タイツじゃないの?」


 ピンク姉さんが、そんなことをつぶやく。


 確かに・・・ここは、黒タイツでしょうに・・・。


「分かってないですね・・・。」


 実くんが、そんなことを口にした途端。


「ゴメンナサイね・・・私、正直戦隊ヒーローってガキっぽくて好きじゃないから・・・。」


 黒スーツに囲まれるように、美しい女性が現れる。


 赤いスーツに実を包んだゴージャス感漂う女性。


 顔は、基地で確認している。


「舞華・・・。」


 ハニーのつぶやき。


「まったく、よくも邪魔してくれたわね・・・。これだから自らの度量を知らない愚民達は・・・。」


「なんだと・・・。」


 レッドが、舞華の言葉に怒りをあらわにする。


「あなた達が何をしたか、分かってないの?せっかくの、都市計画がぶち壊しになったのよ。」


 彼ら五人を前に舞華は言葉を続ける。


「悪が古くなった街や体制を崩し、ヒーローがソレを直す。この腐りかけた国を立ち直らせるには、まさに最良の手段だというべき形だったのに・・・。」


 なるほど・・・。


 確かに、この国は腐っていると思う。


 一度壊して、直すには良い作戦だったのだろうな・・・。


 街も人も壊して、そして・・・ヒーローに立て直してもらう。


 それは、さぞ良い世界が出来上がっただろう。


 それだけの高い理想を持っているならば、さぞ良い国が作れただろうな・・・。


 だけどな・・・


 だけどな・・・・・・・・・・・・・・。