「邪魔されたそうね・・・」


 真っ暗な部屋。


 そこに甲斐が立っていた。


 彼の向かいに立っているのは、一人の女性。


 美しい顔立ちとは、裏腹にその瞳は底が見えないほどに闇に包まれている。


「スイマセン、舞華様。」


「その名前を呼ぶんじゃないよ!」


 甲斐がその名前を口にした途端、平手が飛ぶ。


「来年の選挙がかかってるんだからね・・・。」


 舞華と呼ばれた女性はそれを口にするとニヤリを笑う。


 そして、言葉を続けた。


「いいわよね・・・正義の味方って・・・。悪者が町を壊す、正義の味方が戦って被害が出る。人が死んでも、家が壊れても、仕方ないって処理してくれるんだから・・・」


 そこまで言うと、舞華はさらに笑みを深めて・・・。


「みんな喜んでいるわよ。マスコミには叩かれない。人は減る。復興支援で税金は増やし放題。いいこと尽くめだって・・・。来年からは私も選挙に出させてくれるって・・・フフフフ・・・。」


 クククと声を上げる。


 その笑みがあまりにおぞましく、思わず甲斐は冷や汗を流す。