「・・・・・トゲのあるいい方だな?」


「当たり前でしょ?30人もの、被害者が出たのよ・・・・・・。どうして、それで喜んでいられるの?」


 ・・・・・30人・・・その数字は彼女からしてみれば、決して少なくない・・・。


「ワイルダーが現れたのは、市街地のど真ん中だ。そこで戦闘になった。私の指揮と、君の作戦・・・そして、それを実行してくれる優秀な部下がいなければ、もっと被害が増えていた。何を、当たり前のことを・・・?」


 ・・・・・・・・・確かに、そうだろう。


 甲斐のいうコトは正しい。


 だけど・・・・・・。


 だけど・・・・・・・・。


「もし、あの場に急行したのがあいつらだったら、私の作戦がなくても、誰が統率しなくても・・・もっと少ない被害者で、食い止めてくれたはず・・・。」


 彼らだったら・・・


 あそこに行ったのが、赤井浩太だったら、青山茂だったら、黒田恵だったら、黄浦実だったら、桃井泉美だったら・・・。


 30人もの、被害者を出すことは決してなかったはず・・・。