深は、頭を撫でて小さく笑った。
「優、」
「ん?」
「この、出会いは一生の宝物で一瞬の奇跡なんだって」
「何、それ?」
「要が言ってた。」
さわさわ、と頬を指で触る。
「くすぐったい。」
「ごめん。」
それでも、愛おしそうに見つめた。
優は、ほんの少しだけ、寂しさを紛らわせるように、手を強く握る。
「会いに行こうな、また。」
「うん。」
そっと見つめあって、笑いあった。
「もうすぐ七歳になるんだってさ。」
「早いね。」
「運動会だーって、はりきってるらしいよ。」
「要君の事だから、きっと先生泣かせてるんじゃない?」
「多分、そうだろな。ランドセルも、好きじゃないっておばさん言ってた。」
授業中に、先生に文句を言っている姿が目に浮かぶ。
「けっこう、強烈だよね。」
「まぁな。あんな大人びた六歳児は、そう居ないと思う。」
「先生、誰?何してるんですか?って質問攻めしてそう。」
「多分、要なら、やってそう。」
また、笑って空を見た。
「今日も、星が綺麗だね。」
「マンションから見た星と違ってな。」
「それ、私のセリフ。」
少しだけ、寒いような気がした。
深は、少し震える優を見た。
「入るか?」
「うん。」