「優、」
自然と、足が止まっていた。
「ごめん。」
ちょっと先に待っている深の所まで行く。
「どうした?」
「なんでもない。」
また、繋いだ手。
帰ってきた、マンション。
さっきと、同じ道を行く。
「優、あそこ行くか?」
「何処?」
「空、見てた所。」
「………うん、行く。」
深に釣られるように、足を進めた。
どこか、違う廊下。
明かりが付いて、また違う雰囲気が流れる。
「綺麗……。」
さっきと違う景色が、また街を輝かせている。
「夜の方が、いいな。」
「うん。」
また、違う街の顔。
ただ、暗いだけでなく温かみのある灯りがガラス越しに見える。
さっきは、わからなかった看板や家が目立つ。
「けっこう、お店あるんだね。」
「あぁ。」
キラキラと、光る街。やっぱり、好きだと思った。
「なぁ、優。」
「なに?」
「話しって、なんだ?」
一気に、現実に引き戻された。
その顔は、どこか不安そうで寂しそうだった。
「びっくりしない?」
「多分。」
「あっ……。」
言葉が、詰まる。
話すと決めていたのに、喉に引っかかって上手く話せない。
「ゆっくりでいい。待つから」
その言葉が嬉しくて、自然と言葉が出てきた。
「あのね、」