空に手が届きそうだ

玄関まで、四人を見送る。
「優ちゃん、ありがとう来てくれて。」
「普通、礼言われるのは俺じゃないんすか?」
「深君は、いつも感謝してるって。」
「はいはい。」
「彗さん。また、機会があったら誘って下さい。」
「もちろんよ。」
「ごめんね、酔いつぶれて。」
「いえ。」
早めに、靴を履いた流が一足先に扉を開けて外に出る。
それに釣られて、蓮と彗も外に出た。
玄関で、靴を履き終わったみゆが優の方を向く。
「またね。」
「またね。」
小さく振ったその手は、また会おうという約束にも見えた。
「じゃあな。」
「おう。」
「お邪魔、しました。」
扉の向こうに消えて行く四人を見て、また会いたいな、と心で思った。
「さて、片付けるか。」
さっきまで、騒がしかった部屋が一気に静かになる。
「楽しかったか?」
「めちゃくちゃ。」
「美味しかった?ハンバーグ。」
「うん。美味しかった。」
まだ、少しだけ残っているお菓子やジュースの缶を片づける。
「優が、酒が飲めるようになったらまた、集まろな。」
(また、なんて無いのに……。)
少しだけ、俯いた。
「優、」
「何?」
「これが終わったら、どこか行こうか。」
「うん、行く。」