空に手が届きそうだ

──……
─…
「悪かったな、長く居て。」
「別に。」
すっかり、空も暗くなって星が輝く。
酔っていた蓮も彗も、酔いが抜けたようだ。

流は、空っぽになった食器を片付ける。
「悪いな、いつも。」
「いや、こっちこそいつもありがとうな。」
二人は、台所に並んで食器を洗う。
「いつも、優ちゃんはこんなに美味しいの食べてるの?」
「あ、うん。一応……。」
「いいなぁ。」
「食べた事なかったの?」
「初めて食べた。」
みゆは、う~んと伸びをした。
「深さん、」
「ん?」
「あたし、頑張ります。こんな美味しい料理食べたからなんか、元気湧いてきました。」
「良かった。」
サンキュ、と食器を全て洗いきった。
「流、姉貴達頼むな。」
「わかった。」
手を洗って、適当に洋服で拭く。
「帰りますよ。」
みゆが、彗と蓮に声をかける。
二人は、軽くうなずくと帰り支度を始めた。
「食べたかったな、深の料理。」
「酔ってたから仕方ねぇだろ?」
「だって、飲みたかったんだもん。」
開き直る蓮に、呆れて何も言えなかった。
「蓮さん、止まらないんですか?」
「彗と一緒にホテルに泊まるから。」
頑張れよ、と目で訴える。
「そこまで送る。」