「知らなかったの?流さん、先生だよ」
「知らなかった……。」
「先生、今日は坂本さんの所へ行くって楽しそうにおっしゃってましたよ。」
「そうなんすよ。今日は、僕の家で集まるんです。」
「大川さんも?」
「あっ、はい。」
「仲良いのね」
かぁっと顔が赤くなる。
「僕の、彼女ですから」
「あら、ご馳走さまだ事。」
恥ずかしすぎて、優は俯いてしまった。
「葵、そろそろ帰ろう。」
「あっ、はい。」
幸せそうに頷く葵を見て、本当に夫婦なんだと思った。
「じゃあね、大川さん。」
「はい。また、学校で先生。」
くるみに手を振ると、小さく笑ってくれた。
「仲良さそうな夫婦だな。」
「うん。いいなぁ。」
レジに向かいながら話す。
「きっと、幸せなんだろうな。」
「思った、それ。」
ぴっぴっ、とレジを通る商品。
「2590円です。」
後ろのポケットから財布を出して支払いをしてレシートを受け取る。
「そんな所入れとくと、盗られるよ。」
「大丈夫だよ。」
カゴを持って、少し離れた所にあるいつもの場所へ移動する。
「袋、一枚で入るか?」
「入るよ。」
優は、慣れた手つきで買った物を袋に入れていった。
「じゃあ、帰るか。」
「うん。」