「屋上。」
「わかった。」
サンキュ、と言って重たい足を引きずりながら振り返って、日下部手を振る。
「流ちゃん、ファイト―――!!!」
まるで、自分に言うように叫ぶと気合いを入れて歩いた。
チャイムの鳴り響く校舎。
それに追い越されないように、純一郎は冷たい廊下を駆け抜ける。
(邪魔だっての……。)とてつもなく、うるさい廊下はさっきよりも人が多い。
「おはよう!!!」
「ちっす」
すれ違うクラスメート達に、返事をして急いで走る。
(優、優、優……。)
ただ、ひたすら優の事を考えて屋上に続く階段を一段飛ばしでかけ上がる。
(しんどい……。)
たった四階と思って、駆け上がったがやっぱりきつい。
肩で、息をしながらもゆっくり上がる。
(疲れた………。)
やっと着いた学校の四階。
開けっ放しにされた扉から吹く風がやけに気持ちいい。
息を整えていると、扉に鍵がぶら下がっている。
「おっちょこちょい。」
それを抜くとジャラリ、と音をさせた。
一歩中に入ると、外はとてつもなく優しかった。
「あっち~。」
だだっ広い屋上に、純一郎の声だけが響く。が、優が居ない。
「加瀬君っ。」

