神と名乗る女、デイティは、見覚えがなかった。


「……あんたは?」


「うふふ。嘘よ、私は神官のデイティでしたー」


彼女の笑い方は、とても穏やかで、癒された。


「……全てお話ししますので、しばしお待ち下さい」


そう言うと、デイティはどこかへ歩いていった。


その間、俺は静かに涙を流した。


今になって、魔王と戦ったときの恐怖、リンを守れなかった悔しさが混じった涙が出てきたのだ。


「ごめん…リン。ごめんな…」


俺は、嘆きながら泣くことしか出来なかった。