「…それは幻覚ですよ」


フワッ


痛みがなくなっていく。


声の方を見ると、白魔導士のサクがいた。


そうか…白魔導士だから俺の怪我を治せたのか…


「……サンキュ、サク」


俺は、ヘラッと笑う。


「…馬鹿は嫌いです。私が、援護します」


……馬鹿って俺のことか?


失礼だな。


“援護します”


確か、リンと初めて会ったときもこんな会話をしていたな…。


「……その子、白魔導士か…。邪魔だな、消す」


魔王が、サクの存在に気付いた。


サクが危ない。


俺は、サクの元へ走った。


でも、いつだって俺は届かない。


大切な人を、守ることが出来ない。