階段を駆け上がって、重たい扉を開けたら初夏の風がわたしを包む。


 「キレイ……」

屋上から見る空は青くて、太陽は眩しくて。



 「檸檬ちゃん? 」

屋上に寝っ転がっていた早瀬君が起きあがる。


 「おはよう。 となりいい? 」


 「あっうん。」
 

 「これ、ありがとう。」

わたしは手に握りしめていたキャンディをひとつ口に放りこむ。


甘酸っぱさが口いっぱいに広がって、昨日のkissを思いだした。


太陽の陽が彼の赤毛の髪をよけいに目だたせる。


学校一のモテ男君って言われるだけの事はある。


整いすぎてる彼の顔。


近くで見ると吸い込まれそう。



締め付けられる胸。

高鳴る鼓動。


わたし……どうしちゃったんだろう……。