〝ガラッ〟
「遅れて、すいません。」
歌声が響く音楽室。
わたしの声が、雑音となって教室に響く。
ピアノの演奏が止まる。
一斉に視線が集まる。
「もう大丈夫なの? 顔赤いけど…… 」
「へぇ?? 」
間の抜けた言葉が口から漏れる。
「檸檬、もう気分大丈夫? 」
麗がウィンクする。
「あっうん。 もう。 」
「ムリしないで、保健室で横になっててもよかったのよ。」
先生の優しい言葉が胸にチクッて突き刺さる。
「すいません。 もう大丈夫です。」
麗のおかげで、無事切り抜けたけど……。
絶対あるよね。
質問攻め……。
ハぁ―――。
小さなため息がこぼれてしまう。



