「ちょっと寒いね…
夏なのになぁ…」

焦ってる私の横で
遠くを見るように
ポツリと呟いた。

実際には顔なんて見れてないし…

どんな顔してるかなんて分からないけど…

なんだか一気に緊張が引いてしまった。

余計な事考えて
緊張していた自分がウケるくらいほっとした。


「そうですね…夏真っ只中なのに…」

みんなのはしゃぐ声を背にしながら
しばらく顔も名前も
分からないまま会話を続けた。