どれも、色あせることなく
覚えてる。



大切な、幼い日の思い出。






お兄ちゃんが大好きだった。





お兄ちゃんがいれば、
幸せだった。





お兄ちゃんがいたから、
この川原での思い出は
こんなにも美しいんだ。





「あたしの大好きな――…



たった一人の、お兄ちゃん
だから……」





キラキラゆらめく水面を
見つめながら、あたしは
静かに、そうつぶやいた。






       ***



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