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あの日以来、珪には会ってない。




石になったように立ち
尽くす珪に、お兄ちゃんは
冷たく言い放った。




『キミに何がわかる?

そして、何ができるって
言うんだ?』




それを聞いた時、珪は
ピクッと体を震わせ――。




そして、何も言わず逃げる
ように、部屋を飛び出して
行った。





珪の想い出の中のあたしは
完全に壊れて、消えて
しまったんだと。




あたしはそう思っていた。



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