珪は足元に置いたまま
だったデイバッグを乱暴な
手つきで取り上げた。




そして最後に眼前の
川面を、まるで自分の
運命に立ち向かうかの
ような強い視線で睨みつける。




そのまますぐにきびすを
返し、珪は弾かれたように
土手を登り、走り始めた――…。






       ***



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