独り言のように言いながら
あたしはフラフラと通りを
渡り、珪に近づいた。




声が届くくらいに距離が
縮まった時、珪がようやく、




「……おせーよ、紗耶。

残業か?」




「え? あ、うん……」




たしかに、終わり間際に
用事を言いつけられて
1時間ほど残業になった。




だから無意識のうちに
返事をしちゃうけど、でも
あたしの頭の中はいまだに
『?』でいっぱいだ。




「どうして珪がここに?

だって珪は――…」



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