珪は迷いのない足取りで
駅を出て、表通りにある
電話ボックスに入った。




電話帳を手に取り、
ページを繰り出す。






――今は日曜日の正午過ぎ。




昨日紗耶からかかってきた
電話がきっかけで、珪は
また、旅行で訪れていた
この田舎町に舞い戻っていた。




自分でも無茶なことを
していると思う。




だけど一度気になって
しまうと、どうしても
放っておけず――迷った
あげく、結局来てしまった。



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