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一目散に部屋に駆け込んで
しまいたかったのに――


家の前に彼女の姿を
見つけた時、あたしは
陰うつな気持ちにならず
にはいられなかった。




「宮原さん………」




どうしてこんな時に限って
いるんだろう。



今日のあたしはどこまでも
運がないみたいだ。




こないだと同じように
中に入る気配のない
彼女は、あたしを見ると
ハッと息をのむ。




「あ、こっ、こんにちわ……!」



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