「……やっぱりオレは未練ありすぎなのかなぁ?」
「え?」
「……ま、どうせ振られるから言うけど……
まだ杏のこと忘れられてないみたいだ。
三谷の彼女だって聞いてすげーショックだったし……
まだまだ時間かかりそうだな」
そう、苦笑いする健太にわたしは迷わず抱きついた。
「杏?」
わたしの鼻に広がる健太の匂い。
少しほっそりした腰回り。
手の届くところにいる健太。
わたしだって……。
「……忘れなくていいよ。忘れないでよ。わたしだって健太のこと、ずっと……」
「ちょ、待て」
やっと届いたはずの健太から急に引き離された。
何?

