「おーい、お前らー。」
ようやくくじをつくり
終えた盛岡が様子を探るように
しながら注意する。
「…いいから、席もどれ」
「っ..」
目の淵に涙を浮かべた智子は
仕方なく自分の席に戻って
いった。
....智子。
「じゃあ、一号車から
順番に、ひいてけよー。」
「うわ、最悪。俺、一番前じゃん」
真っ先にクジをひいた翔太くんが
溜息混じりにつぶやいた。
「え?翔太、一番前なの?
何号車?」
「三号車だけど…」
「あたしも三号車の一番前。
翔太隣じゃん。」
嬉しそうに翔太くんに飛びつく
ほのかちゃん。
ふと結城を見た。
…あ。
結城も私を見ていたらしく
やんわりと私に向かって微笑んだ。

