誰よりも、君がすき。

「さっき何話してたの?」

芹沢が席をたったのを
見計らって智子が小声で私に
たずねた。


「大した話じゃないよ。
ほんと、迷惑」

「ほんとにそう思ってる?」


まただ。

智子は冷たく真っ直ぐな視線
を私に向ける。


「当たり前でしょ」

「だったら…」

次の言葉をためらうように
智子はうつむく。


なんだかいつもと違う。



「だったらもう、芹沢くんとは
話さないでくれるかな?」


「なんかむかつくんだよね。
あんたと芹沢くんが話してるの
見るの。私と話してるときよりずっと
楽しそうで。それに」


言いかけてハッとして智子は
ドアのほうを見た。

つられて私も体をドアに
向けた。


「じゃ、そういうことだから」


そういい残し、智子は芹沢と
二人、どこかに消えてしまった。