梨紗ちゃんとの約束の日。



あたしは最近買ったサロペットを着て噴水公園に向かう。



あたしは人を待たせるのが嫌い。



だから、時間にゆとりを持っていかなきゃ気がすまないわけ。



だって、待たされるのってすごい嫌じゃん?



自分が嫌な思いを相手にさせるのはどうかと思う。



だいたい15分前に噴水公園に着いた。



…………ん?



なーんか…見覚えのある顔……。



チラッと見ると、あっちも気づいたのかこっちに向かってくる。



…って来なくていいし!



来られても困るんだけど。



しかも、男じゃない?



「…げっ!」



最悪…。



桐谷純じゃん……。



「ミヤビちゃん、まぢで来てくれたんだ?それじゃあ行こっか!」



桐谷純は笑顔全開であたしにそう言うと、あたしの手を握りしめて歩き出す。



なにすんのよ、こいつ。



あたしは梨紗ちゃんと約束してるのに…なんなのこいつ。



本当有り得ないんですけど。



「ちょっとなにすんのよ!ねぇ…!あたし友達と約束して…」

「あ、ミヤビちゃんはめられたんだ?」



反抗するあたしに桐谷純はちょっと驚いたような明るい顔を見せる。