「花恋ー、行こうよ。時間ないから」
必死に説得しようとする俺。
「やぁだぁあ!パンダ見るの!!ぜっっったいに」
俺の目をまっすぐに見て訴える。
「……わかったよ。まったく」
「マジーー!??やったぁ~、行こうよ早く!!」
顔色を一気に変え、ベンチから走り出す花恋。
あーーーあ。
ダメだなぁ~、俺。
花恋のワガママには、いつも弱いんだよな…
「ほら、早くぅーーー」
もう遠くで俺と瞳に大きく手招きしている。
「瞳、行くか……」
あきれながら瞳に話し掛けた。
「はいっ」
少し微笑んで答えた。
初めて見た、瞳の笑顔。
あんなふうに笑うんだな…瞳って。

