俺の心臓がドクンっと響く。
「うちは大丈夫だから…。」
大丈夫じゃないだろ。
目をそむけ、その目はうるうるさせて…
すべての人が幸せになる方法はどうして無いのだろう?
なぁ、翼。
「花恋。お願い…目つぶってて?」
と翼が花恋に告げた。
「怪しいけど我慢してあげる。んー」
花恋は半信半疑に目をつぶった。
翼は花恋に聞こえないよう、俺の耳元で小さく言った。
「最後に……キスしてい?」
「うん…」
俺と翼の最後のキス-----
今までで1番、優しくて。
ただ触れるだけのキス。
その時。
唇に冷たいものを感じたと思うと、一筋の涙が翼のほほを伝った。
「今まで…ありが…とね」
翼は手の甲で乱暴に涙を拭いながら言った。
その一言で翼との2年半の思い出が次々に思い出される。
その瞬間、俺も目がじわじわと熱くなる。
…泣いちゃいけないのに。
俺は、必死に泣くことを抑えた。

