花恋は頭を下げ、叫んだ。
「直輝をうちにくださいっ!!」
花恋の声は、人気の少ない住宅街に大きく響き…。
その瞬間、秋の匂いのする風がひとつ吹いた。
「あ、直輝」
翼が俺に気付き、呟いた。
「え!!なんで来てんのっ!?動くなって言ったじゃん!」
花恋は頭を上げて怒鳴り声をあげた。
花恋と翼のもとへ歩いていた足が、花恋の怒声で止まった。
「ごめん…でもっ…」
「花恋」
翼が花恋の名前を呼んだ。
とても、優しく消えてしまいそうな声。
「花恋は、直輝のこと…好き?」
「うん!大好きっ!!」
弾けるような笑顔な花恋。
その答えがくすぐったい。
「そっか…直輝、想い通じたんだね。やっと…」
そう言いながら俺に歩み寄る翼。
「じゃあ…別れよ?」
何とも言えぬ顔で、そう言い放った。

