「はぁー…」
ひとつ、溜め息をついてしまった。
花恋が“退学”…?
そんなのまだ信じられない。
花恋のいない教室は、なんだか冷たかった。
太陽が消えた空みたいに…ずっと暗闇。
「どうしたんだ?直輝。顔色が良くないぞ?」
じいちゃんが心配そうに訊いた。
今日は、学校帰りに病院に立ち寄った。
花恋が教室からいなくなってから一週間が経つ。
「いや。なんでもないよ。多分、寝不足なんだよ」
「そぉかぁ?」
心配をかけないように嘘の答え。
病室でリンゴを剥きながら言った。
「あ、そう言えば。直輝は約束思い出したんか?」
読んでいた新聞を畳んで置き、俺に向き直る。
「え?あぁ、一応…」
「花恋は憶えているのか?」
「知らない…」
「知らない?じゃあ確かめてこなくちゃだろ?」
「会えないよ…。」
花恋に会うことが出来ない。
俺…役目も果たして無いのに。
退学なんて、限りなく不幸せなことが起こって…
俺は会わせる顔がないよ。
「でも……。会いたい」
言った後から、ハッとした。
何を言ってるんだ?
勝手に本当の気持ちが声になって出ていた。
「会ってこい!会いたいなら、会えばいいんだよっ!!」
俺の背中をバシバシ叩いたじいちゃん。

