確かに、花恋と約束を交わしたんだ…。
今から12年前のここで。
なのに……
「ごめん…っ花恋…ごめんね…」
俺は憶えていなかったんだ。
そして…
そう、花恋のファーストキスの相手は俺だった。
それも憶えていなくて…
とたんに目から大粒の涙がこぼれる。
「ごめんね……ほん…とうに、ごめんね。…花恋」
ただ泣いて泣いて謝った。
悔しかったんだ…
どうして、こんなにも大切な時を忘れてしまったのだろう…。
ずっとずっと泣いた。
そんな時、ポケットでケータイが鳴った。
見ると英斗から電話だ。
やっとの思いで、息を整え電話に出た。
「もしもし?」
「あ、やっと出た!ずっと電話してたんだからなぁーー!!」
「ご、ごめんっ。……今出られなくて」
「直輝、今どこ?」
「えっと…説明しずらいんだけど。どうして?」
「お前の荷物。学校に置いてったろ?俺が預かってんだよ」
「じゃあ、俺が行くよ。英斗どこ?」
「おーマジ?俺、今公園っ」
「公園…?ん、わかった。今行くから」
そう告げて通話を切った。
この場所は誰にも言いたくない。
ふたりだけの場所だもん-----
俺は、たんざくを握りしめて公園に向かった。

