「な、なんだよ…それ…」
「中学のとき。彼氏をとっかえひっかえ。別れても、すぐ新しい男好きになったりとか?聞いたけど?」
「あいつは、どんな人でも全力で恋していた。軽い気持ちの恋なんてなかった…」
「あっそ。だからってお前に関係ねぇーんだよ!!わかる?」
“関係ない”その言葉が重くのしかかる。
「竜也ーーー!!あたしと遊んでっ?」
千春とはまた別の女が寄ってきた。
「じゃーな」
それだけを言い残し、その女と行ってしまった。
あの竜也にはわかってもらえないんだろうか…
花恋の恋が。
花恋の気持ちが。
あいつはいつもいつも全力だった。
好きになった人が、頭の良い人が好みだと言えば、必死に勉強していた。
好きになった人が、スタイルの良い人が好みだと言えば、毎日ジョギングをしていた。
少しでも好きな人の好みに近付こうと努力していた。
愛する人が死んでしまう前までは……。
深く愛すと、失った時に深く傷つく。
そう知った花恋は軽い恋を繰り返すようになってしまったのだが…
竜也への愛は、大きいだろう。
颯さんと重ねて見ているから。
でも、竜也は花恋の愛を気付いていない。
ただ“軽い”と言われた。
竜也への恋は、決して軽くはないのに…
それが、すごいすごい悔しかった。

