「何が?」
「花恋がおぼれた時、キスしちゃっただろ?」
「別にしょうがないことだったじゃん…助けたんだから」
「直輝が花恋が好きだって知ってんのに、キスなんかしちゃって。あれ、無かったことにしてくんねぇー?」
英斗は両手を合わせて頼んできた。
「なんだよ、それ。花恋はファーストキスだったのに」
あいつの気持ちは、どうなるんだよ?
あんなにうれしそうにしてたのに。
「だから、ゴメンて言ってんじゃん。俺だって初キスだったのに、あんなヤツとしちゃって…まじ、俺ドンマイじゃん」
英斗は口をとがらせて言った。
「あんなヤツ!?ドンマイとかなんだよ!!」
俺は自分の耳を疑った。
英斗は、こんなことを言う奴だったっけ!?
「お前だって海の時、俺と花恋を2人っきりにして。俺が美久を好きだって気づいてるくせに遠ざけたりして、意味わかんねぇ!!」
英斗は怒鳴った。
「花恋なんて、興味ねんだよ!」
俺は勢いのあまり席を立った。
そして…。
「花恋はなぁ……お前が好きなんだよ!」
僕の声が響いた。

