「でも、保留にされてるんでしょ?じゃあ無理じゃん」
そうだ。
あの時、返事しようとしたら『まだ言わないで』と言われた。
無理矢理保留にされてしまった。
「花恋から聞いたの?」
「うん、教えてもらった。…保留にされてるって事は、直輝の返事を聞いてくれないってことでしょ?」
「大丈夫だよ。絶対に聞いてもらうから」
キーンコーンカーンコーン-----。
廊下にチャイムが鳴り響く。
「うん、わかった。じゃっバイバーイ!」
少し心配そうに、でも笑顔で戻って行く。
そんな翼に手を振り返す。
本当に大丈夫だよね?
頼むから手は出さないでね……
翼も巻き込むわけにはいかないんだよ。

