傷だらけのヴィーナス




間部主任は緊張しているように深呼吸する。

「有紗。―――俺のこと、好き?」

真剣なまなざしに、私は息をのんだ。

痛いくらいにドキドキする。

こんなシチュエーション、無縁だと思っていた私に手をさしのべてくれた間部主任。

―――ねぇ、どんな私でもいいですか?

丸ごと愛してくれますか?



「………好き」

そう言った瞬間、私の唇は塞がれてしまった。

セカンドキスは、熱くて甘い。

―――甘い恋の味がした。