内容がどんなものなのか、他人に話してはいけないらしいから聞いてないけど、とにかく政府から手紙が届いたのは事実らしい。
簡単に言って、このアンドロイドは国からの贈り物のようなもの、ということだ。
だからお金は無料だし、問題が起きれば修理はしてくれる、だとか。
この話は、その当時の桜井家でとても助かる話だったから、受け入れることにしたようで。
で、今年の春にやってきたのが、例の冷血アンドロイドクン。
外見や性格、話し方などなど。
事前に検査を受けてからの製作だったというから、外見が似ているのはうなずける。
でも問題は中身と身体能力と学力だ。
どうやらコイツ、製作中になんらかのトラブルがあったのか、それらすべてが春人本人とまったくの逆になってしまっていたらしい。
外見以外がすべて逆。
つまりは、春人本人が嫌いだったものが、アンドロイドは好きだということ。
アンドロイド的にどうでもいいことが、春人は大切だということ。
えぇ、まあ、簡潔に言いますと。
あたしは“春人”に嫌われていたわけではないようです。アーメン。
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「……で、通常春人クンは今まで寝込んでいたと」
「38度からなかなか下がってくれなかったんです…」
「あんたどんだけ虚弱なの。」
「数時間で充電切れるお前は黙ってろよ。」


