っていうか、フツーあたしじゃなくて春人が先を歩かなきゃいけないんじゃないのか。
自分家に帰るんだろうが。
あとお前の方があたしよりリーチ長いだろうが。いやそうでもないか。背的に。
それと後ろついてこられるのってなんかヤダ。
こう、なんか、こう、ね。落ち着かない。
だから隣に来いっつーのよ。
――ピーッピーッ!
そうそう、ピーッぴ…じゃねーよ。
え、なに、なんなのこの音。
すたこら歩きながら悶々としていたあたしは、不意に背後から聞こえてきた不可解な音に足を止めた。
ピーッ、ピーッ!
っていう、これはどう考えても機械音。
え?なに?車がバックしてます的な?いやちょっと違う。
それよりも耳に刺さるような、もうちょっとキツイ音だ。
人を急かすみたいな、そう、言うなればアレ。
充電が切れそうですよ、的なアレ。
――どさっ
鼓膜に刺さる警告音の中に混じって、人の倒れる音がした。


