なんとなく、押しつけがましいかなとも思った。
でもその通りでしょうとも思う。
どんだけ、一緒に居たと思ってんの。
春人は何も言わなかった。
肯定も否定も、何も。
ただ黙って起き上がり、ベッドから足を下ろした。
そのまま立ち上がりながら、「…着替えてくる」とだけ言った。
手嶋先生にお礼を言いながら保健室を出ていく華奢な背中に、あたしは「昇降口で待ってるから」と、それだけ伝えた。
春人に向かって、“昇降口で待ってるから”なんて、初めて言った。
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こんなに歩調が合わないのは史上初だ。
「…………。」
「…………。」
こんなに無言なのもありえない。
鞄を肩にかけ、ポケットに手を入れてスタスタ歩くあたし。
の、数歩後ろをついてくる春人クン。
普段のアイツだったら絶対あたしの隣に並ぶのに。
もうホントうざったいくらい隣に並ぶのに。
お前はあたしがヘッドホンしてんの気づかねーのかよってくらい隣に並んで話しかけてくるのに。
今じゃそれが嘘だったみたいだ。


