「え、あー、そうなんか…」
「そうなんです。」
嘘です。
「じゃあ、まあいいけど…ってちょっと待てお前なんで鞄とか持ちよるんかおい朝倉」
「保健室行ってきます!」
「帰る気満々やろお前鞄置いて行けっちゃああ!」
スーさんの方言混じり(っつーか今の語尾面白かった)な怒鳴り声は背中で受け流し、あたしは教室を飛び出す。
出る間際、未来に視線を送ったら、ニヤニヤ顔で返された。ムカつくけど感謝。
廊下を走り抜け、面倒な階段は飛び降りる。
上手く衝撃が逃げるよう腰を落として着地し、踊り場で上履きを鳴らして回れ右。そして跳躍。
保健室があるのは1階だ。
あたしの運動神経ナメんなよ。
運動部にスケットですげぇ呼ばれるんだからな。まあ行かないんだけど。
最後の階段を飛び降りて、その格好からスタートダッシュ。
ただ保健室を目指した。
100メートル12秒行くか行かないか。
それくらいの速さで、廊下を突っ切った。
なんでこんな必死になってるかって。
自分でも意味わかんないんだけどね。


