世界は今日も廻ってる。



道端に咲いた、桜が舞う。

春一番が駆け抜ける。

風にあおられるように、あたしは上を向いた。


あたたかい、春の陽気だ。

彼と出会った、あの季節。



――ミャーコ。



今でも聞こえるような気がする。

あたしに全然似合わない、あのあだ名。


……ホント、似合わない。


見上げた空に、あたしは笑う。





「……今日も晴れてるよ、ノア」



視界いっぱいの青空に、そう、一言告げて。

あたしは倒れる、アンドロイドのもとへと急いだ。







【End】