校舎の方からみんな走ってきている。
どうやらあたし等が来ないのかと思って心配していたらしい。
っていうか泣くな。あたし等が来なかったくらいで本番よりも泣くな。いやうれしいとか思ってないからホント。
未来さんとあたしは顔を見合わせる。苦笑した。
「ホントウチのクラスってバカばっかだよねー」
「卒業式までこれだから。」
「あああ卒業したくないなああー」
「同じく。」
2人でしみじみ、駆け寄ってくるクラスメイトを見つめた。
が、その後ろからもう一人こっち来てるのを確認して吹いた。
「お前等卒業式までこれかよ!!いい加減俺の言うこと聞けよ!!全員校舎戻れ!!」
「……うわースーさんだ☆」
「スーさんも通常運転だった。」
今年で…30になったようなならなかったようなそうでもないようなスーさんは、相変わらず、独り身である。
そんなスーさんからみんなは「わースーさんだー」「逃げろー」「うわー」とか全員棒読みで叫びつつ走り回っている。お前等落ち着け。
あたし等はそれを見て爆笑した。
「……みなさん本当に、楽しそうですね」
春人が言った。
うん、楽しかった。とても。
あたしは、このクラスが本当に好きだった。
いろいろあった。
いろいろあった高校生活を、あたしは今日、終えるのだ。
――ピーッ!


