充電終わったらキスしよう





「あたしだって早く行きたかったんだけどキョウちゃんが正義のヒーローやってたからしょうがないじゃない」

「は?正義のヒーロー?なんやそれ」


弥生さんが未来さんの前で立ち止まり、首をひねる。

さすがの弥生さんも今日はパンツスーツだ。キャリアウーマン的雰囲気でカッコいい。


「つまりさーまた誰か助けてたって話ー?」


泉はあたしの前で立ち止まり、未来さんにそう尋ねる。

ヤツも今日はスーツだ。なんだコイツスーツ着れるのか。似合ってないこともないじゃん。

「そうですそれです☆」と語尾に“☆”をつけて喋る未来さんのこの変わりようと言ったら。(ちなみにウチの兄さんは未来さんから見て圏外並みのイケメンらしいです。わけがわからないよ。)

あたしはそんな兄貴を見上げて話を変える。


「そういえば、お父さんとお母さんは?」

「んー母さんがちょい検査長引くから後で来るってよー」

「お前仕事放棄してきたのか。」

「はあー…妹のために他の仕事終わらせてきたお兄様の優しさがどうしてわかんないかなー」

「わかったら負けだと思っている。」

「これだからミヤコはさあー」


ため息をつく泉にあたしは目を逸らす。小さく「まあ、ありがとう。」と言っておいた。

小さく言ったはずなのにみんなに笑われた。ちくせう。

あたしがムスッと(たぶん赤の他人にはわからない程度の変化)していると、学校の方から大声が響いてきた。


「あー!居たー!」

「朝倉ああ!」

「浜田ああ!」

「来ないのかと思ってみんな泣いてんぞー!」

「本番より泣いてるかもしんねー!」

「誰かハンカチ貸してくれえええ!」

「おい女子貸せ!」

「いい加減そのネタやめなさいよ」


言わずもがな、我らがクラスメイトたちだ。