充電終わったらキスしよう





「あ、春人クンだー!おーい!」


未来さんが前方の輩に気が付いて手を振る。

その声に、言わずもがな我が後輩、春人も気が付いて振り向いた。


「あー!やっと来ましたー!遅いですよ!」


言いながらこちらに駆け寄ってきた春人は、あたしよりも数センチ、背が高い。

ホントここ1年で伸びたよなーと思うのはこんな時。


「もう来ないんじゃないかって思ってみんなハラハラしてましたよ!」

「ごめんよ。」

「キョウちゃんったらこういう日までお節介が過ぎるんだからねー」

「え、何かあったんですか?」

「正義のヒーローやってたんだよね☆」

「単に女の子を不良から解放してただけです。」

「それを“単に”って言えるキョウちゃん先輩がすごいです……」


今日も今日とてお節介が過ぎる。

あたしは学習能力と言うヤツが欠けているんじゃないかと不安になってくるんだけどどうだろうか。


「あれーまだこんなとこ居んのキミ等ー」


聞き慣れた声があたし等の背後からやってくる。

3人同時に振り向くと、そこには我が兄貴、泉と、


「未来!アンタ早(はよ)せんと間に合わんでなにしてんねんッ!」


登場早々にお怒りの弥生さんが歩いてきていた。

高校の卒業式ってそんな親を呼ぶようなところが多くないんじゃないかとあたしの見解ではあるんだけど、ウチの高校は親を呼ぶ派である。

滅多にないような気がするからウチの学校国宝にしようぜ。いやなんでもない。