――ピピッ。
小さく鳴り響いた電子音。
ノアの左手から、力が抜けた。
……あぁ、もう。
「……ダメかな。」
つぶやくように、彼は言った。
時間がない。
残された時間はもう、ない。
暴れ回りたかった。
泣き喚きたかった。
それでも時間は止まらない。
止まらないんだ。
「……ミャーコ。」
「……うん…っ」
「そろそろ俺、動けなくなるから。」
「……うん…っ」
「みんなに、伝えといて。」
「……なんて…」
「“楽しかった、ありがとう”って。」
シンプルな言葉だった。
だけどそれは、何よりの、言葉だった。
あたしは何度もうなずいた。
絶対に伝えておくと、約束した。


