動けなくて悔しいだろう、それでもノアは、飛び込むあたしをちゃんと、受け止めてくれた。
彼の腕があたしを抱きしめる。
ひんやりとした腕の中。
とてもあたたかいとは言えない体温。
なのにどうして、こんなに安心するんだろう。
どうしてこんなに、好きでたまらないんだろう。
「……よかった、腕は動けて。」
ノアの声が頭上で響く。
この声をもっと、ずっと、聴いていたいのに。
「――……一度でいいから、こうやって、ミャーコのこと、抱き締めてみたかった。」
涙が、彼の服を染めて行く。
「……一度なんて、言わないで…っ」
「……うん。」
「何度でも、何度も抱き締めてよ…っ」
「……うん。」
「ずっと、あたしのこと抱き締めててよ…っ」
「……うん。」
「ずっと、忘れないでいてよ…っ」
「……うん。」
「ずっと、傍に居てよ…っ」
離れないでいて。こうしていて。
動かなくなるなんて、嘘だと言って。
忘れてしまうなんて、嘘だと言って。
やっと好きだと気が付いたのに、居なくなるなんて、嘘だと言ってよ。


